未払賃金請求期間が延長されています その1(弁護士による未払賃金請求)
7ヶ月振りのコラムになってしまいましたが、今日は厚生労働省から出ている『未払賃金が請求出来る期間などが延長されています』のリーフレットを紹介します。(前振りが長くなりましたので、その2で紹介します。)
最近弁護士による未払賃金請求のWeb広告が多くなっている印象があります。ネット広告は今や普通にありますが、最近は高速道路のサービスエリアのフードコートなどに、残業代未払請求のカード印刷広告(クレジットカードサイズ)を置いてる場所もあるそうです。どこぞのサービスエリアにはデジタルサイネージを利用した未払残業請求広告もあるそうです。
間違いなくターゲットは長距離ドライバーに向けて作った営業ツールでしょうが、そのカードにはQRコードが掲載されていて、それを読み込むとサービス残業代が5、6個程度のアンケートに答えるだぇで試算結果が出る。そしてそこから弁護士に相談する流れになっています。
最近未払残業請求がザックリ幾らになるかが分かるWebサイトが増えています。一昔前迄は未払残業請求に関しては労基署やユニオンに相談するというのが普通で、弁護士に依頼するケースは少なかったのですが現在は比較的若い弁護士がSNSを利用して未払残業請求を専門として活動している印象を持っています。
その背景として、法務省が公表している令和3年司法試験受験状況をの中の、選択科目別の数字を見ると分かります。
科目 | 受験者数(人) | 割合(%) |
倒産法 | 437 | 12.9% |
租税法 | 277 | 8.2% |
経済法 | 639 | 18.8% |
知的財産法 | 486 | 14.3% |
労働法 | 1,009 | 29.7% |
環境法 | 143 | 4.2% |
国政関係法(私法系) | 46 | 1.4% |
国政関係法(公法系) | 355 | 10.5% |
上記の数字が示すように、司法試験の選択科目で一番人気は労働法です。労働法は個別的労働関係法と集団的労使関係法に関するものに別れ、その中には基本である労働三法(労働基準法、労働組合法、労働関係調整法)を初めとした数多くの労働に関する法律が含まれています。
弁護士を目指す人も、裁判官を目指す人も労働審判や労働事件の訴訟と実務でも必要となる知識でしょうし、事例問題もイメージしやすいので、人気があるのかもしれません。
上記を踏まえて言えることは、毎年3千人強の司法試験合格者が誕生し、その3割の受験者が労働法を選択科目と選んでいるので、その3割の方々の一定割合の人は弁護士として開業し労働法が強い(専門)専門家として未払残業請求に力を入れる先生がいる。
そして、今時の若い人達はSNS世代なので普通にサービス残業請求に特化したLPを作成するでしょうし、TwitterやFacebook、LINEを利用した広告の活用し、活発に未払残業代請求業務に注力している人が年々増えていく事は、2020年4月から改正された未払賃金消滅時効が当面3年(法律上は5年)に延長されたと言うことから見てもある意味当然の流れかも知れません。
2023年4月からは3年遡りのサービス残業請求が元従業員や、現在勤務している従業員から弁護士経由で来るケースがかなり多くなる事が容易に推察されます。現時点でも2年以上の請求が来る可能性があります。また、弁護士会の過払い金の返還訴訟バブルの終焉もあるのかもしれません。
前振りが長くなってしまいましたので、続きは次回にしたいと思います。最後までお読みいだき有り難うございました。