コラム

行政書士事務所も厚生年金の対象に

2019年11月13日に厚生労働局から発表された「被用者保険の適用事業所の範囲の見直し」によると、相当期間放置されてきた非適用業種の強制加入を見直そうと社会保障審議会年金部会「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」から出された報告書を元に今後法改正がなされるようです。

現行、法人事業所の場合は業種や従業員規模にかかわらず厚生年金の適用事業所、いわゆる強制加入になります。それは働いている人が社長一人であっても強制加入です。しかしながら個人事業所の場合には、強制加入になる事業所の範囲は法定16業種(詳細は下図を参照して下さい)にあてはまる会社に常時5人以上の従業員が働いている場合は強制加入になります。後、5トン以上の船舶、30トン以上の漁船を操業する個人事業所も併せて強制的に加入になります。この強制的に言う表現を“自動的”にと読み替えた方がイメージしやすいです。

厚生年金では法人や個人に関係なく、またそれが営利、非営利を問わず常時従業員を5人以上使用すれば適用事業所になります。これが法人、国の行政機関については、一人でも常時従業員を使用すれば適用事業所(強制加入)になります。

それで、行政書士を始め弁護士や税理士、社会保険労務士等のいわゆる法務業、俗に士業と呼ばれる先生方の個人事業の事業所(事務所)では従業員が何人働いていようが任意加入となっております。逆に読み替えると常時使用される人が5人以上いれば、希望すれば加入する事が出来ると言うことになります、しかしながら二つ目の図にあるように総務省が出している平成28年度の経済センサスによると、他の非適用業種の中で、常時雇用者数が10人から19人の場合、士業以外は概ね9割近くの事業所が加入しているのに対し、残念ながら士業の加入率は4割ちょっとと低くなっています。(下図非適用業種別の規模別法人割合参考

厚生年金の適用事業所(個人事業所の法定16業種)

前置きが少し長くなりましたが、任意加入の非適用業種のうち、法律や会計に係る行政手続きを扱う業種(いわつる「士業」)については、幾ら個人事業所であっても社会保険の手続き等の事務処理能力があるのと、上の図のように同じ任意加入の他の業種であれはおおむね法人化しているような規模でも個人事業所として留まっている割合が高いので整合性の面からみてどうなのか等を判断して適用業種にした方が良いと判断し、それを見直すことになったようです。具体的には二年後の2022年の10月からの適用を目指して今年の通常国会期間中に改正法案を提出する予定です。

行政書士事務所で働く補助者や他の士業の事務所で働く事務員さんとってはメリットの方が大きいと思いますが、事務所を経営している先生にとっては少し頭の痛い法改正になるかもしれませんが上図を見る限り、他の業種と比較して判断すると厚労省の有識者会議ではななだ問題あると指摘されても仕方の無いことかもしれませんね。

厚生年金の適用事業所をまとめると以下の表になります。

参考までに日本年金機構のサイトに、厚生年金保険・健康保険 適用事業所検索システムと言うのがありまして、全国の適用事業所が検索できるようになっております。自分の働いてる会社がきちんと適用事業所になっているか確認してみると良いと思います。特に個人事業所で強制加入なのに入っていないとか、逆に任意加入にもかかわらず働いてる従業員の将来を考えて加入している立派な経営者の元で働けてる事が分かるかも知れません。参考までにURL貼っておきます。

厚生年金保険・健康保険 適用事業所検索システム:https://www.nenkin.go.jp/do/search_section/

本日は以上です。最後までお読みいだだきありがとうございました。