コラム

未払賃金請求期間が延長されています その3(物流危機)

前回前々回で、社労士業務の中で特に最近感じている弁護士による未払残業代請求が増えていることを述べましたが、今回は一番お伝えしたかった未払賃金の請求期間が延長されているということについてです。

この延長については顧問先の社長から多くの質問があります。特に弊所は顧問先として運送会社が多いので、必然と長時間労働がどうしても構造的に多い運送事業者の社長や経営担当者としては、自社が未払賃金が発生してないかは気になるのは当然の事でしょう。

宅配最大手のヤマト運輸が2016年に神奈川の横浜北労働基準監督署から残業代未払で是正勧告を受けて、結果的に7万6千人以上に230億の未払残業代を支払ったと言うニュースが注目されました。2013年に佐川急便が主力で行っていたAmazonの配送を佐川が撤退?(個人的にはナイスな判断だと思います。)若しくは奪い取ると言う形でヤマト運輸が始めたことが原因だと推察されます。

弊所顧問先の運送会社には元ヤマト運輸で働いていたドライバーさんが何人かいて、Amazonの業務が始まって一気に仕事を増えたと口癖に言っていました。またヤマト運輸から仕事をいただいてた社長も同様なことを述べている社長が複数おられます。

未払賃金について、厚生労働省より分かりやすいリーフレットが出されていますので紹介します。

未払賃金が請求できる期間の延長について(表面)
未払賃金が請求できる期間の延長について
未払賃金が請求できる期間の延長について(浦面)

運送業界についての2024年問題、最近はネットの記事や週刊ダイヤモンドや東洋経済でも特集が組まれたりして物流業界がいかに崖っぷちに立たされているかが分かります。

私はもともと運送業界にいました。トラックドライバーから始まり、現場を離れ内勤で運行管理者や整備管理になり配車も何年か担当し経営担当者(専務)として運送業界における諸問題に対峙せざるを得ない立場にいました。その時代に全日本トラック協会で物流経営士の資格を取得しました。

物流総論、経営外部環境、経営内部環境のカリキュラムで物流業界の現状の課題、そして今後の課題そしてその解決策について大学教授やシンクタンク等そのカリキュラムに応じた専門家から学ぶ事が出来ました。しかしながら一事業者として個別な問題は諸々改善できることはあるかもしれませんが、背景にある社会的構造は一企業の企業努力では如何ともし難い事だらけです。

トラック運送事業の運送コストは人件費率が40%と言われています。次いで燃料油脂費、修繕費、減価償却費と続きます。そして保有台数が20台以下の事業所はほぼほぼ赤字です。その原因はひとえに運賃の安さです。

あー、この辺を書き出すとどんどん言いたいことだらけで話が長くなります。頭の整理がつかないまま思いついたことをそのまま書いているので、コラムの中身があちこちに飛んできましたので今日はこれで終了致しますが、

3回のコラムを通して言いたかったこと、『社長の皆さん、賃金未払の請求期間が延長されていますよ。給料計算は正しく行えていますか?そして給料計算を正しく行う為には勤怠管理がとても重要ですよ。そして労働カレンダーを作成してますか?賃金規程も昔に作ったっきりで現状との乖離はありませんか。うちは未払残業発生してるかもと危機感をお持ちの社長、先ずはそこの見直しから始めましょう』でした。

本日は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。