厚生年金 標準報酬月額上限改定
8月14日の官報に厚生年金保険法の標準報酬月額の等級区分の改定等に関する政令が公布されました。令和2年9月1日から施行されます。
官報の説明だと条文ベースですので分かりづらいですが、日本年金機構のサイトの方で分かり安い図がありますのでそちらを紹介します。
現在厚生年金の月額上限は31等級(標準報酬月額62万)ですが、これに1等級追加され、32等級(標準報酬月額65万)が上限となります。
上限が設けられている理由については、高額所得者本人及び事業主負担に対する配慮、及び保険給付額の上で、格差があまりにも大きくならないようにするためであるとされています。上限の等級を増やすことについては、社労士受験生時代の受験予備校の授業の中で、次のような感じでテキストに書かれておりました。上限概定すると意味として、『年度末における厚生年金被保険者の標準報酬月額の平均額の2倍に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を上回り、その状態が継続すると認められる場合には、政令で、最高等級の上に等級を追加することが出来る』みたいなことをうっすら覚えていたので調べて見たのがカギ括弧の内容です。その当時の社労士受験予備校の模試等で割と頻繁に出されていたせいなのか、かなり昔のことをザックリとですが記憶していました。調べてみると平成16年の改正で設けられた規定でした。
そもそも、健康保険については50等級(標準報酬月額139万)あります。基本健康保険は病気等で病院等を利用しなければ保険料を支払うだけで給付の恩恵を受けることはありません。それに比べて厚生年金の場合は納付された保険料に応じて将来の給付に直結します。現役時代の所得格差がその後年を重ねて年金を受給することになった場合、公的年金として過剰な給付水準にならなってしますので、それを抑制する目的を持っておりその結果がこの上限の差と言うことでしょう。
今回の措置で会社としては行政に対して書類の提出等、特段に何かするということは無く、年金機構の方で該当する人がいた場合に改定通知書の送付してくるそうですが、給料計算等の実務を行っている担当者は給与ソフトやExcelファイル等の変更が生じてきますのでお気をつけ下さい。保険料が上がりますので該当する方への説明も必要かと思います。何かリーフレット等がアップされていればそれを印刷して給与明細と一緒に同梱もありかなと思いますが現段階では探しきれませんでした。
今般のコロナ感染症拡大で経済が非常に落ち込んでいる状況ではたして上限額を上げる必要性はあるのかと単純に思ってしまいますが、ネットやYouTubeなどでは増税に向けての第一段階などとの情報を目にしますが、厚生労働省が急に決めた訳ではなく上記規定に基づいた措置だとは思います。思いますが何故今なのかと・・・
標準報酬月額の上限改定もそうですが、今年の年金制度改定ではもっと大きな改正が行われました。それについては次回以降のコラムで幾つか紹介したいと思います。
本日は以上となります。最後までお読みいだだきありがとうございました。