雇調金、システム不具合のお詫び
昨日のコラムで、復旧した雇用調整助成金のオンライン申請中にシステムが停止した経緯を書きましたが、その後厚生労働省から不具合に関するお詫びのメールが届きました。
メールの中身を見ますと、特に入力した顧客の情報が、私以外の第三者に閲覧出来る状態になっていた旨の報告はありませんでしたので、明日顧客への報告はその旨を伝えるつもりでいます。ただ、このメールは昨日システムを利用して履歴が残っている人全員に送った定型メールでしょうから、まだ安心は出来ませんが。
時代の流れとして、オンラインを利用しての行政への届出関係書類はどんどん進んで行く事でしょう。自宅やオフィスから24時間いつでもてづづき出来る事は非常に便利なものです。現在は紙での届出とオンラインの届出併用出来ますが、一部の申請は既に義務されているものがあります。
電子申請するにはインターネット環境は必須ですし、PCやタブレット、スマホ等のデバイスも必要になりますので、完全義務化には馴染まない申請もあろうかと思いますが、間違い無く通信環境やデバイスが整っているであろう事業者向けの申請については義務化が始まっております。
今年の4月から、一部の対象法人に対しては健康保険手続について、被保険者の定時決定、月変、賞与支払届は必ず電子でやることになっております。今はまだまだ大企業向けですが、何れは中小を含めて原則義務化になることでしょう。
本来であれば事務コストを大きく軽減できるオンライン申請が、悲しいかな逆に大きく足を引っ張っている現状があります。4月の第1次補正予算の目玉でもあり柱でもあった、全国民に給付する特別定額給付金は、マイナンバーの問題とからんで、自治体によってはオンラインでの受付を休止しております。
急ごしらえのツケが出たと言われておりますが、今回の雇用調整助成金のオンライン申請システムのシステムの不具合も急ごしらえのツケかもしれません。くしくも、6月2日の日経新聞に、経団連の中西会長が『電子政府の遅れ、日本最大の課題』と発言した記事を掲載しております。
「電子政府の遅れ、日本最大の課題」 経団連会長
経団連の中西宏明会長は5月末で就任3年目を迎え、日本経済新聞などのインタビューに応じた。日本の最大の課題は「行政を電子化する『eガバメント』の遅れ」だと指摘した。コロナ禍で多くの企業が雇用調整助成金などを申請するが、行政のデジタル化の遅れもあって手続きが滞っている。
中西氏は電子申請の方法が自治体によりバラバラなことについて「会社経営だったら潰れてしまう」と非効率な手続きを問題視する。「結構なお金を使っているが、便利になったという感触がないシステムのつくり方だ」と改善を促した。
2020年6月20日付 日本経済新聞電子版より
確かに、自治体でバラバラというのは大きな問題点だと思います。民間の力を借りて現状システムが作られていると思いますが、各自治体ごとに作るのは大きな分割損だとおもいます。単純に日本政府主導で出来れば大きな事務コスト削減になると思うのです。専門の大臣がいるのか承知しておりませんが、もしいないのであれば、しかるべき組織を作って兼任でも良いので大臣をトップにするのもありなのかもしれません。
因みに私は、イーガブ(e-Gov)は便利に活用させていただいております。特に、e-Gov電子申請とe-Gov法令検索は私にとっては立派な業務支援ツールです。
紙ベースの申請に慣れている日本人がその意識を変えることは、容易なことではないのは理解出来ます。ですが、スマホ世代がこれからどんどん増えて行きますので、オンライン申請システムに抵抗を持たないで活用していくことでしょう。
利用者よりもむしろ、日本全体で見た時には突き詰めれば政府に問題があるのだと思います。ブロードバンド環境は世界でも最高水準にあります。今回のコロナ問題にともなって幾つかのオンライン申請システムが作られていますが、使い勝手が悪ければ本末転倒です。
国連の電子政府ランキングによると、日本は10位(193カ国対象中)だそうです。数字だけみると高いのかなと思ってしまいます・・・
電子政府(e-Government)ランキングは、単にオンライン申請システム一つで判断するのではないので、他の項目によって比較的上位にいるのでしょう。
確かにマイナンバーみたいな、国民IDが導入されているのでは、比較的規模の大きくない国のみで、いわゆる大国のほとんどはまだ導入されていないとのことですので、そういった視点で且つ全体的に見た場合は高い位置にいるのかもしれません。
話が脱線してしまいましたが、オンライン申請システムを個人が利用する機会がこれからはどんどん増えて行くことでしょうから、士業や会社の担当者が利用するシステムは兎も角として、個人が利用するオンライン申請システムを作るときは、ずぶの素人が利用すると言う事を常に頭において、わかりやすく、また出来るだけ誤入力や勘違いがおきにくい使い勝手の良いシステムに作っていただきたいです。
本日は以上となります。最後までお読みいだだきありがとうございました。