コラム

自筆証書遺言書保管制度について その1

ずっと雇用調整助成金の記事が続いておりましたが、本日は来月10日から始まる自筆証書遺言書保管制度について述べたいと思います。

先週の6月3日に、私が所属している神奈川県行政書士会川崎南支部で、支部の勉強会がありました。この勉強会の中で支部長が、7月から始まる法務局で自筆の遺言書を保管してくれる新制度ついてわかりやすい説明がありましたので共有致します。

そもそも法律名は『法務局における遺言書の保管等に関する法律』と言う名称になります。法務省から出さされているリーフレットには『遺言者保管法』とありました。

これは、2019年1月13日から段階的に施行された民法との一部改正にともなって新しく創設された法律になります。この相続法は1980年、昭和55年に改正されて以来大きな改正がありませんでした。

それぞれの専門の士業としては、弁護士や税理士となりますので、詳細は専門の先生方のわかりやすいサイトが多数有りますのでそちらをご覧下さい。ここではザックリと紹介したいと思います。この段階的な改正、まとめると以下のようになります。

1.配偶者居住権の新設 2020年4月1日施行

この問題は、マスメディアでも度々取り上げられることが多かった、高齢の配偶者が亡くなった時に、残された高齢者がこれまで何十年も住んでいた家を、遺産分割の為に、他の相続人に明け渡す事が多発していたことへの対応策として、仮に自宅の所有権が息子に渡っても、残された配偶者がそのまま住み続ける事が出来る権利になります。

ポイントはこれまでの民法では被相続人が亡くなった場合の配偶者の居住権は何も規定しなったので、配偶者居住権を新設したことによって、自宅での居住を継続しながら、その他の財産も取得出来るようになることです。

配偶者居住権について
法務省より引用

2.婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置 2019年7月1日施行

現行だと贈与税を行った場合、原則遺産の先渡しを受けたものとして扱われるために、配偶者が最終的に受け取る財産額は、結果的に贈与がなかった場合と同じになるので、これを遺産の先渡しを受けたものと取り扱う必要がないとすることで、結果的に配偶者はより多くの財産を受け取る事が出来るようになります。

贈与税の優遇措置
法務省より引用