コラム

もはや別の給付 -雇調金上限引き上げへ政府検討-

今朝の日経新聞に上記のタイトルで雇用調整助成金の1日当りの上限額、現行8,330円を引き上げ方向で行くとの記事が出ておりましたので紹介します。

政府は雇用調整助成金の上限額を引き上げる検討に入った。雇用調整助成金は雇用を維持しながら従業員に休業手当を支払う企業に対し、国が一部を助成する。現在の日額上限は1人あたり8330円。企業が支給する休業手当と助成金との差は企業の負担となるため、企業から引き上げを求める声が出ていた。

西村康稔経済財政・再生相は3日のフジテレビ番組で、安倍晋三首相から厚生労働省に引き上げ検討の指示が出ていることを明らかにした。財源の確保が課題で、西村氏は2020年度第2次補正予算案の編成も含めて「できるだけ早く結論を出す」とした。実現すれば「さかのぼって支給する」とも述べた。

企業の都合で従業員を休ませると、平均賃金の6割以上を休業手当で払う必要がある。政府は特例として雇調金の助成率を引き上げた。それでも8330円を超えた分の助成はできないことが課題になっていた。

2020.05.04 日経新聞 電子版より引用

フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」で橋本徹氏と西村経済再生相とのやりとり生で見ておりました。橋本さんの激しいツッコミに対して、大臣の回答は終始抽象的な発言にしか聞こえませんでした。しかしながら、未知なるコロナウイルスとの戦いにおける対応について、今の政治家や霞ヶ関の官僚は経験したことないことでしょう。

政府や医療機関等も手探り状態で事を進めざる得ない状況だった思います。故に初期対応がこれで良かったのかと言う議論も出てくるでしょうが、コロナウイルスとの戦いはまさに現在進行形ですので、この国難を乗り越えべく、国民や官僚や政治家、それこそ政治家は与野党の壁を乗り越えてことにあたってもらいたいです。

先日の国会でも従業員が休業した場合の1日の支給額の上限(8,330円)は世の中の実態とかけ離れているので上限を引き上げられないかの質問がありました。その回答で雇用保険制度全体の見直しを必要とするので現状難しいと西村大臣は答弁されておりました。

話はそれるかもですが、NHKのニュースウオッチ9で頻繁に雇用調整助成金の現状を報道しております。そもそも書類が複雑で数も多い。分からないので相談しようとハローワークや労働局や助成金センターに電話しても繋がらない。他にも様々な問題点を連日のように放送しておりました。その中でこの8,330円の低い旨の放送があった日の翌日にこの上限拡大の話が出てきました。政治家はNHKのこの時間帯のニュース番組はチェックしてるでしょうから、この報道は多少なりとも後押しした気もしなくはないですが。

話がそれましたが、この上限額は雇用保険の基本手当(失業手当)の上限8,330円とリンクしております。今失業保険をもらっている方々への整合性の問題が生じてきます。基本手当だけでなく、雇用保険の他の保険給付にもこの8,330円は絡んでおりますので、先に西村大臣が述べていたようにこの8,330円の上限額を見直すことは、雇用保険の制度の見直しまで絡んで来ると思いますので、政府もどのように見直すのか苦慮していると思われます。