トラック運転手が大量定年、迫る物流崩壊①
トラック運転手大量定年による物流崩壊①
2月22日のヤフーニュースにトラック運転手が大量定年、迫る“物流崩壊”なる記事が掲載されておりました。ソース元は日刊工業新聞のニュースイッチみたいですが、国立社会保障・人口問題研究所が発表している下図「我が国の人口推移と今後の予想」を元にトラック運転手で試算してみると、トラック運転手不足が7年後の2027年には25%の人材不足になり、単純に考えると4回に1回は商品の輸送をあきらめる可能性があると警鐘しています。
こういう事態に陥る可能性があること、政府はとうの昔に分かっていてその為に実は様々な施策を行ってきております。具体的にはモーダルシフトの更なる推進、トラック輸送の更なる効率化、物流ネットワークの拠点高度化、港湾・鉄道等既存インフラのストック効果の一層の発現、過疎地等における物流ネットワークの構築、物流の高度情報化・自動化など潜在的な輸送力を発揮し、併せて究極的に効率化された物流を目指そうとしています。ここでの詳細な説明は割愛しますがこれだけの物流政策を行っいるのにもかかわらずドラーバー不足は一向に改善されません。
この状況は様々な原因があるかと思います。そもそも物流業界は中高年層への依存度が他の業界よりかなり高いです。併せてドライバーの4割が50歳以上とこれまた他の業界より高い状況、日本は世界でも類を見ない少子高齢社会で労働力人口が年々減っていく現状に鑑みると、これからもますますドライバー不足深刻になっていくのは間違いないでしょう。また、Amazonや楽天等の台頭により貨物の小口化になっております。私も便利なのでよくAmazonを利用するのですが、小さなハサミ1個でも配達してくれます。AmazonはFBA小型・軽量プログラムというサービスを提供しておりますが、少し前迄は1,000円未満の低単価の商品を購入しようとした場合、あわせ買い対象品になっており幾つかの商品を合わせて千円以上にして購入する事がありましたが、今はその対象にならないで販売されている商品も数多くありますので気軽に買えたりします。Eコマース市場も海外に比べればまだまだ低いですが着実に伸びております。我が家でも高額商品を購入する際は、家電量販店に行って店舗では実物を見てどんな感じか使い勝手はよさそうかとかを見る等購入判断の材料探しに行っているだけで、実際の注文はそのインターネットの価格.comで安く販売している業者からネット注文したりしています。こういう買い方をしている人結構いるかと思います。
駅前の商店から買い物する機会が減ってネット上のEコマースを利用して衣類、雑貨、書籍等購入する機会がどんどん増えて行く中、それを配達するドライバーさん達が少なくなって行くのは残念でしかたありません。私の前職は運送会社で役員をしておりましたので、ドライバーさんが慢性的に不足している状況、そして欠員の確保が非常に困難なことは身をもって体験してきました。同業他社の方と会合でも仕事があるのにドライバーさんが足りないので失注することなんて話を何度も聞いておりました。当時の配車担当者も翌日の配車を決めるのに毎日苦労しておりました。欠員のドライバーさんを集めるのにハローワークだけでの募集ではなかなか必要な人数あつまりませんし、それなりの時間も掛かります。故にどうしても民間の求人広告を利用するのですが、二週間広告をフリーペーパーに出した場合の応募の問合せの電話が年々少なくなっているのを肌で感じておりました。ドライバーさんの定着率を良くするために人件費を他の同業他社より2割近く払っていた関係で、ドライバーさんの定着率は良かったですが結果的に人件費率は上がる一方荷主との運賃交渉は簡単には上がらずの状況で、会社の経営状況は非常に厳しかったです。
少しトピックの主題からはそれますが、今回のヤフーの記事でもそうですが何故かトラックドライバーとは言わずトラック運転手と呼称を新聞やテレビ等のメディアは使うことが多いです。世間でも一般的にはトラック運転手という呼び方に馴染みあると思います。私は機会があって全日本トラック協会が行っている物流経営士なる資格を取得したのですが、そのカリキュラムの中である講師が、トラック運転手と呼ぶのはやめて、トラックドライバーと呼ぶべきと主張しておりました。トラックドライバーは普通の会社員の人が多数にもかかわらず、例えば何か事件報道があった場合、その被告がトラックの運転手の場合、被告は運転手○○とわざわざ運転手という言葉を使う。運転手以外なら会社員○○ってよんだりします。運転手も会社員なのに運転手とテロップをだす。これは由々しき問題ですとその講師は述べておりました。問題点をうかがうとこの運転手という呼び名は辞めてトラックドライバーに変えるべきだと私も思いました。この問題点の指摘はまた機会があれば述べたいと思いますが、トラック運転手は底辺職という謂れなき偏見が見え隠れしております。トラ協の幹部がとあるテレビ局に運転手と言う表現をやめて報道するときはトラックドライバーにして欲しい旨のお願いをした事があったそうなのですが、まぁ結果は今も変わらず運転手という単語を使っております。
話が長くなりましたので、時回ではトラックドライバーが人手不足問題を元運送会社に勤めた経験、そして物流経営士、社会保険労務士としてこの問題を掘り下げてみたいと思います。
本日は以上となります。最後までお読みいだだきありがとうございました。