あるべき雇用政策 その1
先日コラムでも紹介しましたが、厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会が2020年の最低賃金引き上げの目安を示すことが出来ませんでした。これは国として新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化を受けて、先ずは賃金よりも雇用を優先するとの判断に基づいた答申が取りまとめられたでしょうから、これをうけて都道府県ごとに最終決定する形になります。ほぼ間違い無くこの答申の内容が反映されるとことになるでしょうから来年の10月までは現行の最低賃金が続くということになるでしょう。
私の住んでいる神奈川県の最低賃金は1,011円。一番高い東京都は1,013円、私の生まれ故郷である沖縄県は790円と1時間で223円もあります。1日8時間働けば1,784円。月22日で換算すると39,248円の差があります。これはまさに最低の賃金なので現実はもっと大きな開きがあります。
沖縄は賃金が安くても物価が安いと思っている方が多いと思いますが実はそうでもありません。公示地価 都道府県ランキング 2020年[令和2年]によりますと沖縄県はなんと11位です。上昇率でみると全国1位です。沖縄に関しては毎年のように上昇している印象があります。那覇で生まれそうだった妹が今年家を建てたのですが、那覇市内は土地代が高くてとても無理、と住み慣れた那覇を離れて糸満市と南城市に挟まれた八重瀬町に家を建てました。引越と同時に子供達は那覇市内の小学校から八重瀬町の小学校に転校なりました。私が住んでいた37年前からに比べると信じられないくらい土地の値段が上がっております。本当に今那覇で家を建てると言う事は大変なことです。那覇市内の家賃も私の住んでいる川崎市とさほどかわりません。
タクシー代こそ安いですが意外と沖縄の物価は高いです。那覇市の食料物価指数は東京23区より高く全国の県庁所在地で1位です。今でも全国平均よりも高い状況は続いています。賃金は全国平均の8割位で物価は東京都の23区と変わらない。私は18歳に上京して本土での生活が3倍以上になりましたが、実家の沖縄に帰省する度に物価の上昇を感じておりました。東京で生まれ育った妻に、沖縄の物価高いよね~って帰省する度にいわれるくらい那覇市の物価は高いです。
沖縄に旅行に行って豊かな自然に感動し、うちなーんちゅと触れ合って沖縄に移住する人達が多くおりますが、何年か沖縄に移住して沖縄を離れる人もかなりの人数おられます。原因はそれこそ色々あろうかと思いますが一つ言えることは、沖縄の失業率の高さは毎年全国ワースト1位ですし、特に若年層の失業率高さは他の県と比べても突出しています。上の表にある厚生労働省が出している最新の賃金構造基本統計調査によると、1位の東京都の賃金は月額37万9千円、一方沖縄は25万1千円で年収にすると東京は約454万円、沖縄は約301万と大きな開きがあります。沖縄は低収入・高コストで、貧困、生活苦に陥っている人達が多いという実情があります。そういった厳しい生活環境を知らないで移住する人達が多いのも大きな要因の一つだと私は思っています。
他にも沖縄には本土には様々な問題を抱えています。基地問題はよくマスメディアでも取り上げられますが、子供達の貧困問題は沖縄県外の人達にはあんまり知られてないかもしれませんがかなり厳しいものがあります。沖縄県民は基地問題よりも子供の貧困問題対策を最優先して欲しいという県民の意識調査結果の記事を見たことがあります。
沖縄の厳しい現実をつらつら書きましたが沖縄は本当に良いところです。沖縄の良さを書き出すときりがありませんのでまたの機会にいたします。故郷沖縄の素晴らしいところ、高校まで住んでいるときは考えることもありませんでしたが沖縄を離れて37年、年を重ねる度に再認識していきます。私は顧問先に行くとき、かりゆしウェアを着ていくこともありますが、かりゆしウェアの質問をされるとつい沖縄の長話になることがあります^_^;
ここまで脱線したので私が帰省したときに撮影した画像アップ致します。少しでも沖縄の自然の雰囲気が少しでも伝わると良いのですが。
沖縄本島にて(画像をクリックすると大きな画像に変わります)前西原撮影
今日のコラムは7月22日の日経新聞の記事で、昭和女子大学副学長の八代尚宏先生の『休業手当より失業給付重視を あるべき雇用政策』の記事を紹介する予定でしたが、脱線してしまい長くなりましたので続きは次回にしたいと思います。
本日は以上となります。最後までお読みいだだきありがとうございました。