コラム

あるべき雇用政策 その2

前回のコラムでは沖縄の雇用状況の厳しさや、コラムタイトルと関係のない私撮影した沖縄本島の画像をアップしてしまいましたので、今回は本来紹介したかった記事を改めて紹介致します。7月22日の日経新聞にマスメディアにもよくお出になられて専門家としていろいろ発言されている、昭和女子大学副学長の八代尚宏先生が以下の記事を出ております。

休業手当より失業給付重視を あるべき雇用政策
八代尚宏 昭和女子大学副学長

日本経済新聞より

5月9日にアップしたコラム「アメリカの失業率が戦後最悪の水準に・・・」の中で、アメリカは3月の失業率4.4%から14.7%と一気に悪化したのに対し、日本の完全失業率はコラムを書いている時点では4月の数字は発表されていなく、2月2.4%から3月2.5%の比較をして、さほど上がっていないが4月は結構悪化する可能性があると述べました。それを受けまして、5月分までの完全失業率が総務省統計局の方から発表されておりますので紹介します。

完全失業率

結果的に日本では3月の完全失業率2.5%から4月は2.6%とわずか0.1ポイントしか悪くなっておりません。この数字には非常に驚きました。テレビ等では観光業や飲食店などの倒産や廃業を連日のように報道しておりましたので、もっと悪くなるのだと思っておりましたが、八代先生が上記の記事で分かり安く説明しております。

記事の中で、雇用調整助成金が対象事業主の拡大、受給要件の大幅な緩和、休業手当の助成率を100%近くにまで引き上げたことによって失業者を大幅に抑制しているので、コロナ不況の影響が現れた4月の失業率はわずか0.2ポイントの上昇にとどまったと。雇用調整助成金の申請代行のやっている社労士としてこんなに雇調金が失業率を抑えることが出来ているのは何かうれしくなりました。しかしそれはぬか喜びということを八代先生は同じ記事で述べています。

失業者を大幅に抑えている反面前年比420万人を増えているという異常な状態になっている。仮に19年平均を上回った人を失業者としてカウントするとなんと9%台に達すると述べております。政府が企業の休業手当を実質的に肩代わりして、名目上の休業者を増やすことは経済の実態を覆い隠すことになっていると。確かに株価も一度大幅に下げたことがありましたが、今日現在でも22,000円を超えています。世の中大変な事になっている割にこの株価は本当に不思議です。単純に日銀が株を買いまくって支えていることが大きいのでしょうか、この失業率の低さも株価に反映しているのかもしれません。

休業手当を出せない会社で働いている従業員が自ら申請出来る『新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金』も今月10日から郵送受付が始まっていますので、アメリカのような急激な失業率悪化はこの先も日本ではないでしょう。ただ、これは事業主が休業手当を支払わなくても良いというモラルハザード(倫理の欠如)を誘発すると警鐘しています。

他にも、アメリカなど不況時に労使間の合意に基づき従業員が一時的に解雇されるが、景気が回復した際は優先的に再雇用されるレイオフ(一時解雇)が日本ではそれが利用されていない。と言うより解雇に関して日本は極めて厳しい縛りがあります。また、雇用保険の再就職手当は就職先が前の会社に再雇用された場合は支給されません。不正受給を防止する意味合いなのでしょうが、平時の時は兎も角今回のような未曾有雇用危機に陥る可能性があるときは特例でこの規定を一旦停止すること、雇用調整助成金の要件を大幅に緩和できていますので、これが出来ない筈がありません。

また、既に失業している人達の基本手当(失業保険)の上限は1日8,330円と新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の上限11,000円との不均衡も指摘されています。他にも財政の浪費を指摘、また普遍的な雇用維持政策の機能を拡大するため本来の雇用調整助成金の政策目的である労働者保護に徹底すべきと延べ記事を締めくくっています。

今回の八代先生の記事は凄い勉強なりました。レイオフの導入は今後コロナ感染症拡大で経済の低迷の続く中では大きな武器になると思いました。私は社労士なのでそもそもレイオフは日本でははなから厳しいと思い込んでおりましたが、日本でも過去に一時帰休の対象となった紡績企業の労働者に失業給付が適用されたと述べております。失業給付が何の給付なのかはネットで調べても見つけきれませんでしたが、雇用調整助成金とうまく併用して利用する価値はあると思います。

厚生労働省、雇用調整助成金のオンラインもまだ再開しておりませんし、今数ある省庁の中で一番激務で大変だと思いますが、こうした労働法制の専門家の話を政策審議会の時だけ聞くのではなく、ことあるごとに聞いていただき今後の政策に繋げて欲しいと思いました。

本日は以上となります。最後までお読みいだだきありがとうございました。