コラム

最低賃金の減額特例許可申請について

先日コラムでも紹介しましたが、厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会が昨日行われました。深夜にまで話し合いが行われたものの、結局議論は決着しないで今日改めて議論することになったそうです。昨日の審議会が4回目だったそうですが、4回でまとめることが出来なかったのは平成26年以来6年振りだそうです。7月17日閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2020でも、全国加重平均1000円になることを目指す方針を堅持すると発表があったばかりなので、落とし所が見えない難しい話し合いになっているのでしょうか。

最低賃金 審議会議論中断 労使主張に隔たり きょう改めて議論

NHK NEWS WEBより引用

 

話は変わりますが、先週顧問先の社長より相談がありました。従業員を採用して試用期間中は通常日給1万円を出しているのだけど、コロナの影響で経営が非常に厳しくなっている中、その金額を出すのは厳しいので、試用期間中は弁当代程度ではダメなのかと。現場仕事なのですが、最初の数日は先輩に同行して仕事は何もさせなくて、ただ先輩の仕事を見ているだけで仕事と言えば最後の片付けくらいだから、と。

経営者としての心情は理解は出来ますが、現場に出した以上お弁当代だけというわけにはいきませんよとお伝えしました。見てるだけと言っても、現実問題現場の片付けもさせますし、何より仕事を見て覚えるいう指示を与えています。ということは、そこには明らかに指揮命令が生じております。それはもう立派な労働にあたりますので最低賃金以下の賃金にした場合、それは最賃違反になりますのでお気をつけ下さいと。

確かに新人が入社してそれなりに稼げるまでになるには会社の持ち出しは続きます。私は前職運送会社に勤めていたのですが、そこはトラックが全車ユニック付きのトラックでした。荷物の積み降ろしをするのに、大型免許とは別に小型移動式クレーンの免許(技能講習)と玉掛免許(技能講習)が必要でした。ユニック操作は車と同じで免許があったとしても実際の経験がないと即現場に出すというわけいきません。先ずはベテランの横乗りしてユニック操作を学んでいく。そして簡単な荷物の積み降ろしから初めて徐々に経験を積んでいき、先輩が一人で現場に出しても大丈夫とのお墨付きが出て初めて現場に出ることが出来ました。

採用してどんな短い人でも1週間はベテランと共に行動させておりました。早い人でもひとり立ちには1か月は掛かっていましたし、完全にひとり立ちするのに人に寄っては3か月とか普通にありました。その間は社会保険料の会社負担分を合わせた給料の持ち出しはなかなか厳しいものありましたので顧問先の社長の気持ちは理解出来ます。

そこで紹介したのが最低賃金の減額特例許可制度です。私自身はこの制度、名前くらいは知っていたのですが実際に申請したことはありません。申請して許可が得られると、本来適用される最低賃金が特例的に最賃以下の賃金で試用期間中は就労させることが可能です。ただし下げられる下限には限度がありますし、諸々の要件がありますので詳細はリーフレットにてご確認下さい。

最低賃金の減額の特例許可申請について最低賃金の減額特例

最低賃金の減額特例

この最低賃金減額特例は他にも次のような場合にも申請可能です。

  • 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
  • 基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者
  • 軽易な業務に従事する者
  • 断続的労働に従事する者

この制度を顧問先の社長には紹介しましたが、利用については安易に利用すべきでは無い旨も合わせてお伝えしました。いくら試用期間中の短い期間とは言えこの制度を利用した場合、御社で頑張ろうと思って入社した人のやる気をそぐ可能性があります。そもそも、募集の際に試用期間中の賃金を明記しないで募集したのであれば応募した人は通常のお給料をもらえると思いますし、面接で試用期間中は1万と伝えたのであればそれは労働契約法上も履行義務が発生していますので非常に問題です。最終的にはこの制度を利用しないで行く方向になりましたが、人をどうしても増やさなくてはならないが、資金繰りの関係でやむ得ない場合の状況下での利用は有効かと思います。

この最低賃金の減額特例の制度、障害者の雇用を生むと言う事では有効かと思います。しかしながらこの制度を悪用する事業者も少なからずいるわけで、どんな制度にも善し悪しがあろうかとおもいますが、特のこの制度については表と裏というか二面性が強い印象があります。

さて、話が脱線してしまいましたが、この後18時からの中央最低賃金審議会の結果はどうなることとやら。先日のコラムでも紹介しましたが、最低賃金の目安を出せない可能性も出てきましたね。

 

本日は以上となります。最後までお読みいだだきありがとうございました。