コラム

建設キャリアアップシステム料金値上げ

今週火曜日(9月8日)に建設キャリアアップシステム運営協議会事務局より、建設キャリアアップシステム(CCUS)に掛かる事業者録料、管理者ID利用料、現場利用料について、来月10月1日より値上の発表がありました。

詳細は次の『10月からの制度改正のお知らせ』をクリックいただければPDFが開きますのでそちらをご覧下さい。大きく3つの改正となりますのでザックリとですが紹介します。

1.料金の改定(事業者料金のみ変更。技能者登録料は変更なし

  • 事業者登録証(5年ごと):現行料金の2倍
  • 管理者ID利用料(1年ごと): 現行料金の4.75倍
  • 現場利用料(各現場で利用ごと):現行料金の約3.3倍

2.お問い合わせセンターにおける電話受付9月30日にて終了

3.郵送申請・受付窓口申請の受付9月30日にて終了

2と3の変更は昨年の4月からシステムの運用が開始され1年6か月が過ぎたと言う事で、ネット環境が無い事業者、若しくはネットによる申請に不慣れな方に向けての、電話による問い合わせ並びに紙ベースによる郵送並びに窓口に持参しての申請受付も、当初の目的をほぼほぼ果たしたと判断したのでしょうしある意味合点もいきます。

しかしながら料金の改定については、開始1年半での値上げそれも結構な値上げ幅になります。

そもそもの値上げは6月24日に国土交通省がCCUSを運営する(一財)建設業振興基金の財政悪化を理由に事業者登録料を現行の5倍、技能者登録料は2,500円から4,000円、現場利用料を3円から6円にそれぞれ引き上げ、倍増を提案したところから始まったと記憶しています。

6月26日の電気新聞テジタル版に、CCUSの運営赤字が19年年度末で56億を超える赤字、20年年度末には100億に達する見込みになると報じておりました。運用を開始してわずか1年で56億の赤字になるとは一体どういうことでしょうか。丸2年を経過した20年度末に100億に達するのをこのまま放置は出来ないと早急な利用料金改定に踏み込んだのでしょうがこの値上げ幅にはビックリです(;゚ロ゚)

CCUS、大幅赤字を計上/費用想定甘く、今年度末には累積100億円に

電気新聞テジタル版より

赤字になるにはやはり理由があるわけで、その原因を究明そして修正し値上げに踏み込んだのか、この短期間で時間的な余裕があったのかはなはだ疑問です。そもそもの見積が甘かったので利用者が増えれば増えるほど赤字になったとの記事も目にしました。そうなるとそもそもの料金設定の問題もあるでしょうし、運営している振興基金のコストもあるでしょう。何れにしましても赤字の原因をハッキリ究明し、それを公開して利用者に負担を求めるという手順を踏んだのでしょうか。

また、加入目標が大きく下回ったので赤字が膨らんだとの記事も目にしましたが、加入率が上がらないのであれば、その理由があるわけでしょうからその問題もクリアするなり、利用者はメリットを感じなければ加入しないでしょうから、いかにメリットをアピールするのかも大きなポイントだと思います。

私も前職の会社は大手ゼネコンから仕事が売上の9割を占めていました。月に数回は各現場の安全パトロール、災害防止協議会(災防協)には出席しておりいろんな職人さん達を見てきました。他の業界に比べて建設現場で働く職人さんの高齢化はとても深刻です。将来にわたる担い手の確保の一つとして、このCCUSは導入されました。システム自体は画期的で非常に良く出来た制度だと個人的には思っています。建設業界も技能者の処遇改善をはかるツールの一つとして業界を挙げて普及に取り組んでいます。

10月からの値上げは覆されることはないでしょうから、『現場で働く技能者の処遇改善、将来にキャリアの見える化につながる画期的なインフラ』CCUS紹介パンフで案内しておりますが、更にプラスαで登録することで受けられる恩恵を増やし、利用率を上げていく取組を関係者には期待致します。

本日は以上となります。最後までお読みいだだきありがとうございました。