コラム

コロナ禍で増える『メディカル・プア』

先日、クローズアップ現代でメディカル・プアの特集を行っていました。あまり聞きなれないフレーズですが、様々な理由で生活苦に陥り体の具合が悪くなっても病院に行くのをやめた人達を番組は報じておりました。経済苦の為に病院に行くこが出来ない人がコロナの影響で急激に増えていることが紹介されていました。番組内容のリンクを貼っておきますので、興味のある方はご覧下さい。

番組内では国民健康保険料を長期に渡って支払えない為に保険証が手元にない方、あるいはコロナ禍で解雇等により仕事を失った方、仕事にはついているが非正規雇用の為安定した収入が得られない等、諸々の事情により病院に行けない、病院に行っても自己負担が払えないので躊躇する人達を紹介しておりました。

驚いたのには働いているのも関わらず病院に行けない状況があると言うことです。正社員と違って非正規の人たちは休んだら基本収入が減ります。雇用調整助成金が特例により支給割合が100%になったり上限が15,000円に拡充されてからは事業主も休業になっても従業員に対して休業補償としてそのまま従業員に通常の賃金を支払う会社も増えましたが、それでも歩合が絡む場合であったり、事業主と従業員の休業協定書の取り決めによる内容によっては、コロナ以前の水準までのお給料がもらえていない人達も相当数いるかと思います。

非正規の方々は先行き不透明で日々雇用に不安を抱えています。そんな中多少具合位で病院にかかることを躊躇してしまいそれを長らく放置してそれが重症化して初めて病院にかかる状況です。コロナの感染を恐れ一時期病院からお年寄りの人達が消えたという問題報道もありました。持病が重篤化する恐れがあるので感染対策を行って病院に通うようマスメディアでも報道呼びかけていましたが、メディカルプアの問題はより重要な問題です。

日本は国民皆保険制度により世界でもトップクラスの健康格差が少ない国です。全国どこにいても同じ医療費をどの病院でも平等に受けられます。にも関わらずこう言う厳しい状況に置かれている人達の為が月を追うごとに増えて来ている現状があろうかと思います。

医療保険には保険料免除制度や場合によっては生活保護の医療費補助を受けることも制度的には可能です。ただ現実は行政の壁が立ちはだかっています。番組でも紹介しておりましたが、生活保護を受ける時は基本財産の処分が必要になってきます。都心なら兎も角地方にとって車は生活する上でかなり重要です。車を処分しないと生活保護を受けられないという現行制度は改めることも必要じゃないでしょうか。ただ実際運用するにあたっては線引きが非常に難しいと思いますので、一律に県で分けるのではなく、一つの県でも県庁所在地と田舎では交通アクセスがかなり違ってきます。その辺を考慮して本当に困った人達が受けられるような制度の運用が出来ないものかと思ってしまいます。

近年は貧困による問題が深刻化しています。国民皆保険制度は国民健康保険料の保険料を支払う事によってそのサービスが享受出来ます。経済苦でその保険料が支払えないために医療が受けられていない人々の支援として番組では『無料低額診療』制度を紹介しておりました。この制度は社会福祉法にもとづいた社会福祉事業の一つです。生活困難者が無料、または低額な料金で医療が受けられるという制度で、その制度を利用して長年煩っていた病の治療が出来た喜びの声を番組内で放送しておりましたが、とても素晴らしい制度だと思います。

利用方法とかの案内を厚生労働省に分かりやすいリーフレット無いか探してみたいのですが、見つけきれなかったので、私の住んでいる川崎区で無料低額診療を行っている川崎共同病院のリーフレットをアップします。

無料・低額診療制度のお知らせ_ページ_1
川崎共同病院より
無料・低額診療制度のお知らせ_ページ_2

残念なのはこの無料低額診療を行っている病院は全て病院でやっているのではなく、ごく一部で更に地域によってはばらつきがあるのが実情です。済生会病院が力を入れて行っているみたいですが、全日本民医連に加盟している病院、日本医療福祉生協加盟の病院も徐々に増えてきているようです。

それから、院外処方の薬では補助になっていないケースがあるそうです。その為に一部の病院では病院の持ち出しで対応しているそうなので、ここは政治の力で解決して欲しいです。

11月に入りましたが、雇用の状況はどんどん悪化しています。最近は名だたる大企業の人員削減のニュースが連日報じられています。この状況を鑑み雇用調整助成金も来年の3月末で特例延長になる方向で、今月上旬には菅首相が内閣に第三次補正予算を10兆円規模にして、その中の一つに企業の雇用維持に大きく役立っている雇用調整助成金の特例を3月末まで延長することを指示するそうです。

雇用調整助成金の特例延長が予定通りに今年の12末で終了になった場合は来年の1月から雇用崩壊が始まるのではと専門家も警鐘を鳴らしておりました。それは一介の社労士の私でされ予想できることです。

間違いなく来年は今年より雇用情勢は厳しくなろうかと思います。残念ながらもうコロナの前のように全てが戻るとはどうしても思えません。一連のコロナ対策で莫大な予算を投じて対策を講じておりますが、このメディカル・プアの問題は、医療を受けられない人たちを放置することは結果的医療費を増大させることに繋がることは間違いないと思いますので、貧困者が医療を受けられない問題解決に向けた施策を講じてもらいたいです。

本日は以上となります。最後までお読みいだきありがとうございました。