コラム

雇用調整助成金申請へ大きな朗報

本日の日経新聞電子版に『雇用調整助成金、申請後押し 社労士の連帯責任解除』なる記事が出ておりましたので紹介します。

厚生労働省は企業が支払う休業手当に国が資金支援する雇用調整助成金を巡り、企業の申請書類に偽りなどがあった場合に社会保険労務士にも連帯責任が課される規定を特例的に解除する方向で検討に入った。休業に追い込まれた外食・サービスなど小規模企業の多くは法定書類を作っておらず、罰則を恐れる社労士が二の足を踏み、申請の壁になっているためだ。

雇調金は雇用を維持しながら従業員に休業手当を支払う企業を資金支援する。休業要請を受けた中小企業が平均賃金の100%の水準の休業手当を支払う場合は国が費用を全額補助する。雇用を維持する政策の柱だが、4月24日時点で申請件数は2541件、支給件数は282件にとどまっている。

社労士に申請を代行してもらう例が多い小規模企業は、法律で定める給与台帳などの書類を作っていないことが多い。書類の偽りや不正行為が発覚した場合、申請を代行した社労士には
(1)連帯債務
(2)氏名公表
(3)5年間の助成金の申請の禁止――などの罰則がある

2020/04/30 日本経済新聞電子版より出典

上記の記事で紹介されているようにこの連帯責任、社労士にはとても重い足かせなのは間違い無いと思います。特に助成金専門の先生や社労士法人では顧問先以外からのスポットでの依頼は、言葉の表現が悪いかもしれませんが、恐くて受けられないのがと言うのが現状かとおもいます。

それは、万が一申請書類に不正があって連帯責任を負わされたら事務所の維持が困難になります。顧問契約先であればその会社の労働時間の把握、年度更新でお給料の実態 も見えると思います。それがスポットのお客様の依頼だとその会社の現状が分かりません。休業申請している日に従業員を働かせていないか、それをごまかす為に別の出勤簿を作成したり、賃金台帳も二重で作成していないか、売上減少要件5%を偽りの書類を作成していないか等、確認する事は山のようにあります。それを全てチェック出来るのかそもそもそれ自体が疑問です。スポットで依頼を受けるにしてもその会社の実態を把握できているその会社の顧問の税理士さんの紹介じゃないと厳しいのかも知れません。

私もそうですが、助成金に普段携わっていない先生方も通常業務に加えて、何度も要件緩和を行いもはや別の助成金かと思うくらいになっている今回の特例による雇用調整助成金申請は受けづらいのが至極当然だと思います。もとより社労士は不正受給をするはずもなく、今顧問先から依頼が殺到していて何とか事業主の為に限られた時間の中でこの対応にあたっている先生達がかなりおられると思います。

1月24日から数回の要件緩和や拡充がおこなわれている関係で、これまでの雇用調整助成金とは今迄とかなり勝手が変わっており、専門の社労士でさえ行政に電話して確認する事が頻発しておりました。ハローワークや労働局に確認するにも電話が繋がらなくて処理が遅々として進まない、にもかかわらず顧問先やスポットからの依頼や相談が殺到しているのが現状です。

こんな状況ですので、申請代理業務を社労士に頼れない中小企業の事業主は自分で申請書を作らなければならない状況に置かれ、分からない事があるとハローワークに電話を掛けたり、電話が繋がらないので直接相談に行く状況です。ただ、神奈川の場合だと最寄りのハローワークでは申請の相談はおこなっておらず、個別の相談は横浜市中区の神奈川労働局助成金センターに行って下さいと言われます。申請書が出来ていれば郵送も可能ですが、内容に不安があるので相談したいと思う事業主やその実務担当者が相当数いるかと思います。

また相談に行くにしても予約が必要で、この電話が繋がらない。やっと繋がって予約を入れると気が遠くなる程先の予約しか取れません。今日別件で最寄りの川崎のハローワークに行った折り、4階の助成金担当の職員と話をする機会があったのですが、助成金センターへの個別相談の予約、今日の朝一の時点で予約が取れるのが5月29日以降との事でした。相談にするのも一ヶ月近く待たされるとは如何に申請の数が多いのか想像できます。