コラム

最低賃金を巡る攻防

本日の日経新聞に、20日に開かれる厚生労働省の諮問会議、中央最低賃金審議会で年3%程度と大幅に引き上げてきた最低賃金が、今年は新型コロナウイルス感染症拡大に景気低迷で横ばいへの攻防に、と報じています。

20最低賃金、大詰め審議

日経新聞より

 

確かに大企業にのみならず、中小企業にとっては自動的に人件費が増大しますので、正社員でも最低賃金ギリギリのラインで基本給を設定している事業者、非正規労働者の多い飲食サービス業やコンビニチェーンなどの小売業、宿泊業、第1次産業も最低賃金で働いている労働者が多いので大きな痛手となることもあるのは間違いのないことでしょう。

その対策として企業側は、労働者の残業時間を厳しく管理して残業代を減らすことでその調整を図ります。日本のサラリーマンは年収の2割以上は残業代というデータを見たことがあります。現に私もそうでしたが、残業代を加味して月の家計予算を立てている家庭も多いと思います。生活残業はサラリーマンにとっては切っても切れない関係になってるのもしれません。

審議会がどういう判断を示すのか20日迄分かりませんが、本当に難しい問題で、大企業の集まりである経団連や中小企業で構成されている商工会議所の三村会頭の「引き上げは凍結すべき」の主張、労働者側の連合が主張している最低賃金はセーフティーネットなので引き上げは需要、の主張も共に筋が通っていて理解出来ます。最後は政治判断で政府が決めるのでしょうが、20日の審議会の答申は10月以降の最低賃金引き上げへの方向性を示すので注目したいと思います。

もっとも、有識者で構成されているこの中央最低賃金審議会、毎年最低賃金の目安を示しておりますが、リーマンショックショック後の時は答えが出なかったこともあるそうなので、今回も場合に寄ってはそれもあり得る可能性もゼロではありません。今回に関しては個人的には現状維持と予想しておりますが、安倍総理が第2次安倍内閣になって力に入れてきた最低賃金を上げていくことを最後まで貫き通して、3%迄は行かないまでも上げることに重きを置くのか気になる所です。

仮に最低賃金が例年通り上がった場合でも、国は様々な支援策を出しておりますので、是非以下のサイトをチェックして使える助成金や支援策は有効活用して、少しでも事業運営に役立てていただきたいと思います。国以外でも各都道府県や市区町村でも専用のサイトがあると思いますので、そこも要チェックです。参考までに厚生労働省が最低賃金引き上げに向けた中業企業向けの支援事業を紹介致します。

 

最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業

最寄りの市区町村でも利用出来るサービスがあろうかと思います。私の住んでいる川崎市でも先週からワンストップ型臨時経営相談を始めておりまして、私も専門家(社労士)として相談員をしております。初日の15日には川崎市の福田市長も視察に来られました。ひとつひとつのブースに立ち寄って激励の声を掛けておりました。私の所にも来ていただき、お付きの方が社労士の相談員と紹介していただいたのですが、福田市長は雇用調整助成金の現状はどうかと質問されて来ました。私は川崎市の雇用調整助成金の電話相談員も兼務しておりますので私の把握している内容をお伝えしました。

ここに来て新型コロナ新規感染者が右肩上がりになってきて、東京でエピセンターが発生などと耳慣れない言葉がテレビ等で報じておりました。YouTubeで東京大学先端科学技術研修センターの児玉先生の、国会の参議院予算委員会に参考人として招致された際の動画を見たのですが、鬼気迫るものがあってこの先が非常に不安になりました。

ワクチンが開発されるまでまだまだ時間が掛かりそうです。私自身、最近はつい5月のGW期間位にあったコロナに対する危機感や緊張感が薄れていておりましたが、小島先生の話を聞いて一気に現実に引き戻されました。まだまだコロナとの戦いは一向に終わりが見えません。そういった中、今一度緩んだ気を引き締めていきたいと思います。

 

本日は以上となります。最後までお読みいだだきありがとうございました。