コラム

雇調金、リーマン・ショックを超す勢い

7月3日の日経新聞に、愛知県の雇用調整助成金の申請が2万件に達し、リーマン・ショックを上回ると増加ペースになってる旨の記事が出ておりましたので紹介します。

愛知の雇調金申請、2万件に リーマン超すペース
新型コロナ・中部の衝撃

休業手当を政府が肩代わりする雇用調整助成金の申請が急増している。愛知県内の申請は2日時点で2万3333件に達した。特に直近の約1カ月で1万7千件近く増え、月間の増加ペースは2008年秋のリーマン・ショック後を上回る。当初は製造業中心だったのが観光や小売り、飲食の小規模事業者に広がってきた。

日経新聞より引用

記事でも紹介されておりますが、前回との大きな違いとしては観光産業、取り分け旅行業、宿泊業については、外国人が入国出来なくなったため大きなダメージを受けております。

JNTO(日本政府観光局)が5月20日にプレスリリースした資料によると、今年の4月の訪日外客数はなんと2,900人(前年同月比99.9%減)とのことで、JNTOが1964年から統計を取り始めてから過去最少だとか。これは日本だけではなく、世界各国のインバウンド市場全体に言えます。

テレビの番組で、ある日雇い派遣添乗員さんがインタビュー受けてて、その中で収入ゼロの状態約4か月続き休業補償がないので、貯金を切り崩して何とか凌いでいると言っておりました。本来なら今月の23日からオリンピックも予定されていたので、仕事はタイトなシフトが組まれていたそうなんですが、それがゼロになったと・・・・

私も知らなかったのですが、添乗員業界は大手旅行会社でも正規雇用者は少なく、派遣の添乗員が大半を占めているそうです。5月30日にアップしたコラム『派遣労働者の5月危機』でも紹介しているのですが、派遣社員の厳しい状況は続いております。

この方のような、ツアーの添乗員の仕事がある場合の日雇い制での働き方を始め、非正規に広がる補償なき休業で苦しんでいる人が相当数いると思います。シフト制が多い業種として飲食店業界がありますが、シフト制で働いてる方にも休業補償なしで休業した人もかなりいると思われます。本来なら、シフト制でも休業補償の必要となります。

正社員であれば、通常所定労働日は1日8時間、1週間5日間などと労働契約で明確に定めるのですが、非正規の方に関しては、1日の労働時間はザックリ定め、1カ月間の所定労働日を明確に定めずに働かせている場合も割とあります。飲食店の従業員の8割はアルバイト等の非正規労働者と言われております。緊急事態宣言中は休業補償されなかったアルバイトの人達は多かったと思います。

会社の方で、労働日が不確定なので雇用調整助成金申請出来ないので、休業補償を出せないと判断している場合が多かったみたいで、厚生労働省は令和2年5月29日版の雇用調整助成金FAQ問84の回答でも述べておりますが、労働日が不確定な業種(添乗員等)の取扱について、昨年同時期のシフトや直近月のシフト等に基づいて労働日の設定を行い、それに基づき休業日を決め、休業手当を支払うこととしている場合は助成対象としています。

添乗員も雇用調整助成金の対象

これは、令和2年5月27日に、厚生労働省職業安定局雇用開発企画課長から、各都道府県の労働局職安定部長に出された通達(職企発0527第1号)『雇用調整助成金における労働日が不確定な事業主に対する対応について』が大本です。この考え方はシフト制を用いてる他の業界の会社にも利用出来ますので、今度コロナ感染症拡大に伴って第二波が来て休業補償をする場合は活用できます。

もっとも、会社から休業補償がなされなかった場合の、みなし失業を利用した休業者支援制度も近い時期に制度化され、運用されるのもそう遠くないでしょうから、緊急事態宣言中に問題となった、有休消化や欠勤を用いて、企業との雇用契約は維持されながらも、休業者扱いになっていない、『隠れ休業』者も以前よりは少なくなると思います。

ここ数日は東京都などは3日連続100人を超えの新規感染者が出ております。このまま3桁の数字が続かないか心配です。第2波は第1波を上回るとという専門家もいますし、WHOも第2波で数百万人が亡くなる恐れがあると警告を発しております。間違い無く第2波は来るものだと思って、その為の心の準備、そして備えも会社も個人も必要だと思います。

再流行を防ぐため、今まさに一人一人の注意深い行動と、コロナ拡大防止に強い関心を持つことが求められているのだと思います。私自身も十分に気をつけて行動していきたいと思います。

本日は以上となります。最後までお読みいだだきありがとうございました。