コラム

失業率は下がったものの その1

731日に6月分の完全失業率の結果が総務省統計局から出されましたので紹介します。なんと驚くことに5月の2.9%から2.8%0.1ポイント下がっております。

出典(「労働力調査結果」(総務省統計局))

7か月ぶりの改善だそうで、この数字を見たときには私も一瞬目を疑いました。完全失業率とは、労働力人口(15歳以上の働く意欲のある人)のうち、完全失業者(仕事がなくて求職活動している人)が占める割合です。完全失業者数を労働力人口で割ると完全失業率になりますので、この数値が高ければ高いほど仕事を探している人が多いということになります。

労働力基本調査によりますと、就業者人数は前年同月に比べて約77万減少、コロナの影響が出始めた4月から連続3ヶ月間の減少です。間違いなくコロナの影響で失業者は増えております。それでも失業率が下がったと言うことはどういうことでしょうか。景気が悪いので働くことをあきらめた人は労働力人口から非労働力人口にカウントされ結果的に失業率が下がるということもありますが、労働力人口が増えて非労働力人口が減少しています。そこで基本調査報告2ページにある従業上の地位別就業者数の中身をみるとその理由が分かるかと思います。

先ず、就業者とは従業者と休業者を合わせたもののことで、「自営業主」「家族従業者」「雇用者」の3つに分かれます。雇用者はコロナの影響で職を奪われておりますので当然に減っておりますが、自営業主・家族従業者数は694万人と前年同月に比べ9万人(1.3)増加しています。ということは、仕事を失った人がフリーランス化する、自営業者になった人がかなりの人数がいるということがこの表から読み取れます。つまり、仕事を失った人がフリーランスの仕事へと形態を変えたことによって失業率がほぼ横ばいという驚きの数字になったのではないでしょうか。

労働力調査基本集計

 

では何故急激にフリーランス(自営業者)が増えたのでしょうか。それは厚生労働省が毎月発表している有効求人倍率に関係していると推察できますが、それは次回のコラムで紹介したいと思います。

本日は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。