コラム

行政書士事務所のキャッシュレス化について

本日2月26日の日経新聞電子版に「報酬、電子払い広がる」と言う記事が掲載されております。これはフリーランスなどの個人事業主への報酬を、銀行や郵貯銀行へ振り込む事に変えて電子マネーとして個人事業主のスマホに入金するサービスが増えてきていると言う内容の記事です。

利用者は自分の銀行口座からネットバンギングや直接現金を用意して支払うのに替えて、スマートフォン決済で支払うサービスだそうで、例えば助太刀Payなるサービス。これはアプリを使って受注者(ex.一人親方等の職人さん)が請け負った工事が終わると工事の内容や金額をアプリに入力申請して、その申請内容を発注者(元請)と確認して問題が無ければ承認。それを助太刀が所定の審査を行い、承認が終われば工事代金がすぐに受け取れます。助太刀アプリにチャージされると言う形での受け取りになるのですが、このお金を実際に現金化したいときは、あらかじめ作成しておいた助太刀カードでゆうちょATMやセブン銀行で引き出す事が出来ます。このカード、傷害保険も自動付帯しているそうで、現場で作業して怪我した場合、5,000円/日の傷害補償(団体総合生活補償保険=MS&AD型)が受けられます。

このアプリのよく出来ている点は他にもありまして、昨日お話した建設業はどこの現場も人手が足りない状況です。その足りない人数を補う為に職人さんと元請けを繋げるサービスを提供しております。職人さんが自分で対応出来る工事を、発注者が現場情報をあらかじめ入力しておけば、例えば現場の都合で急遽明日の仕事が無くなる、逆に急な追加工事で職人さんが複数必要になったけど職人さんが集まらないと言う状況に陥った場合、現場検索機能や職人検索機能を使ってメッセージのやりとりを行う事で、職人さんは空いた日の仕事を見つけたり、元請けは足りない職人さんを確保したりする事が出来ます。両社Win-Winですね。この機能は有料にする事で更に使い勝手良くなります。ザックリとした説明になりましたが興味のある方はURLを貼っておきますのでご参照下さい。

助太刀URL: https://suke-dachi.jp/

少し行政書士事務所のキャッシュレス化の話からそれてしまいましたが、この助太刀みたいなサービスを士業でも行って欲しいものですが見たことがありません。あ、今でも報酬を現金以外で受け取る決済方法、例えば毎月の顧問料を徴収する場合のクレジットカード決済は、例えばJstyle Credit(URL: http://jstyle-co.jp/sigyou/)が士業向けで行っております。

10士業(弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、弁理士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、中小企業診断士、不動産鑑定士)の登録者数はザックリ31万人を超えております。その中には士業法人内で登録しておられる先生もいるでしょうか、助太刀みたいなサービスをやってないかググってみたのですが見つけきれませんでした。31万人迄はないにしても、それに近い分母があれば助太刀みたいに受注者と発注者、士業で言えば各先生と、手続きお願いしたい依頼人をマッチングするサービス出来ないかなとふと思っていまいます。士業が自分で営業しないでどうするって言われそうですが・・・

ちょっと本題からそれますが、士業の報酬の電子マネー支払(クレジットカード決済)が世間一般の決済利用率に比べてあんまり普及していないかを調べて見ると意外なことが分かりました。それは士業のある意味頂点(超難関資格であると同時に、実務として何でも出来るという意味において)でもある弁護士事務所での利用が進んでないことが分かりました。その進んでいない大きな原因として、報酬の受け取りをクレジットカード(電子マネー含む)利用を日弁連から自粛するように要請が平成四年に弁護士に出されている事が原因みたいです。日弁連としては、多重債務者の過払い金返還手続きを弁護士や司法書士事務所の営業手段としてテレビやラジオCMとして連日放送されている中、クレジットカード利用を発端として起きているこの多重債務問題の当事者であるカード会社と組むのはおかしいと言う論理みたいです。その当時は今よりずっとこの多重債務者問題は社会問題になっていたのでしょうから、借金の任意整理、消費者救済の為カード会社と闘っている先生からすると抵抗があるのはむしろ当然なのかも知れませんし、全ての弁護士が所属する日弁連としてはそう言う要請をするのは理解出来ます。

ただ時代が進むにつれて今の世の中カード支払が出来ないと言う事は余りにも市民感覚からずれていると誰もが思うわけで、日弁連としても、表現がザックリとした言い方で恐縮ですが、カード利用も致し方ないけど、カード会社と手を組んで酷いことをしなければいいんじゃない。と片目を閉じた感じで大きな反対はしていないそうです。まぁ悪徳業者が、カード利用契約が甘いクレジットカード会社と加盟店契約してお年寄りに高額商品を売ったりしていた背景がありますので、それはそれで十分に配慮しないといけませんが、そう言うことをする不逞の輩はどの世界にいるわけで、弁護士だけ自粛してねって言う話も時代にそぐわないのは当たり前なのかもしれません。

弁護士も首都圏を中心にカード利用が出来るような動きになってきているそうです。行政書士も何れカード払いとか電子マネーでの報酬受け取りが普通になってくるかもしれません。今日の日経の記事で私がメインで取り上げたかった内容は、個人事業主とかで現在行われている報酬の支払いを、普通の会社員の給与にも解禁論もと言う内容でした。次回で社会保険労務士の立場から、会社からもらえる給料を電子マネーにする事についてお話ししたいと思います。

本日は以上です。最後までお読みいだだきありがとうございました。